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漣の雫
遠くの海のさざ波
白い砂浜に打ち寄せる
優しく穏やかな波
君に手渡す
漣の雫
メインのアクアマリンのカボションは、中央あたりに、僅かながらキラキラと光に反射して煌めく部分がありまして。
それが私には、海岸線から穏やかな海を眺めている光景と重なっていました。
太陽の光がキラキラと反射する海。
遠くのさざ波。
まるで穏やかな波の音が聞こえてきそうな。
そんな海を、ギュッと閉じ込めたようなアクアマリンのカボションを。
アーティスティックワイヤーのシルバーカラーと、ブルーカラーワイヤーを混ぜて、巻いてゆきました。
柔らかく、柔らかく。
何度も、何度も
白い浜辺に打ち寄せる波。
そんなイメージで、くるくる、くるくるとワイヤーのラインも、波の形が描かれてゆく。
今回は珍しく
海水や、海ではなく。
波にフォーカスした作品でして。
前回の太陽の雫は、太陽の光という掴むことのできないもの、でしたが。
今回は、"波"という、言葉で表すことや、見ることはできるものの、
どうにもこうにも、この手に掴むことはできないもの、が現れてきました。
だけども、不思議なことに。
ワイヤーで作った枠組みは、石を盛り込む前の土台の段階から、むしろはっきり、クッキリと波の形を主張してきまして。
何度も何度も、波が打ち寄せてくるように。
どんどん、どんどんと、掴めない筈の"波"が、形として現れてくる。
イメージの中で、ワイヤーのラインで。
これでもか!!というくらいに、
さざ波
という感覚が浮かんできましたので。
それを邪魔しないように、
飾りの石を盛るのはかなり、少なめになりました。
宝石質のスカイブルートパーズと、宝石質のアパタイトを、ワイヤーで描いた波の合間に配置する。
まるで青空を映したような水色と。
爽やかでキラキラした海の色。
遠くの海で、太陽の光に反射して煌めく光と。
砂浜に打ち寄せる波が混ざり合って生まれる
漣の雫
こちらの作品は、前回の太陽の雫で感じたように、糸島に観光に行った時に見た海のイメージに影響されておりまして。
櫻井大神宮に参拝した後、すぐ近くの二見ヶ浦にも行きまして。そこで夫婦岩を見たんですね。
浜辺には真っ白い鳥居がどーんと立っていまして。その鳥居の向こうに大きな夫婦岩があったんですが。
その時の天気は、曇り空。
幸運にも雨は降らなかったので、駐車場に停めて、砂浜の鳥居の近くまで歩いて行けたんですよ。
その時に、曇り空の中で見る海の色や。
ふいに差し込む太陽の光の中で見たその海は、ものすごく綺麗に感じられました。
曇り空なのに、こんなに海が美しいなんて!!
と、その時にちょっと驚いたんですよ。
やっぱり、普通は青空で太陽が燦々と光る時に見る海が1番美しいと思いますし。
曇り空の海って、どちらかといえばどんよりして暗いイメージじゃないですか。
そして、この日見た海の色も、その景色も、写真で撮ると、本当になんてことない色になっちゃうんですが。笑
肉眼で見た海の色と、その景色。
白い鳥居と、夫婦岩。
身体で感じられるその場所の雰囲気や空気感が、なんだかとても美しく感じられたんですね。
その時に見た、とっても穏やかな海のイメージが、この作品と重なってゆきました。
まるで、美しく感じられる感性とか、美しい海そのものがざぶーん!とさざ波と共に、私の中に届いたような感覚。
寄せては返すその波を
掴むことは不可能かもしれない。
手に入れることは無理でも。
その波が
私に届けてくれたもの。
手渡してくれたものが
ここに在る。
これは私の勝手な解釈ですが、
このさざ波は、
流れに乗るとか、波に乗るとか。
バイオリズムのようなもの。
目に見えない縁や繋がりとか。
そういうニュアンスやテーマがあるのかなと思うんですが。
その流れや落差はあまりに穏やかで。
変化も少ないものだから、自分では感じとりにくいものなのかなと思うんですね。
いつの間にか潮が満ちて。
いつの間にか引いてゆくように。
境目が無くて、わかりにくいもの。
近づいたと思ったら離れ
離れたと思っては近づいてる
何度も何度も、
そんなことを繰り返しながら
いずれ到達する場所。
いずれ、手元まで届く何かがある。
そんな波を信頼して、
思い切って身を任せてみる。
てのも、実は結構勇気がいると思うんですよね。
ていうのも、全然変化してるように見えないと、内心めっちゃ焦ると思いますし。
なんとかしようと躍起になったり、 凹んだり、自分で頑張って波に乗ろうとしちゃったり。
流れに身をまかせるっていうのも、自分ではそもそも、何が流れなのかわかんない!(笑)てなると思うんですよ。w
変化が大きいのは、大きいので大変かなと思うんですが。笑
ゆっくり、じっくり、じわじわとした変化というのも。
腰を据えて取り組む忍耐強さとか、委ねる気持ちが必要かなと思うんです。
その流れは、まるで
さざ波のように。
小さな、小さな変化と行動の積み重ねの先にあるものかもしれない。
何度やっても、何も変わらないじゃないか!
と思うくらい、あまりに、じれったいもの。
時間がかかるものなのかもしれない。
寄せては返す波。
それでも、その穏やかな波に身を任せ。
小さな変化を感じてゆく先に。
連れてってくれる場所。
教えてくれるもの。
届けてくれるもの。
自分の心が、ハッとするような美しい何か。
気がつくことがあるんじゃないかなーと思いました。
それは、例えるのなら。
海岸線から見ていた、遠く、遠くの。
太陽の光に反射してキラキラ光っていた海が。
さざ波に乗り
小さな雫となって
貴方の手元まで届いたようなもの。
いつの間にか。
手にしている。
いつの間にか
その手に贈られているもの。
Drops of ripples
穏やかな波に乗って
君に手渡す
漣の雫
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