*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*―――――*★*
-Drops of forest-
森の雫
雨の雫がぽたり、ぽたりと。
この森の木々の葉を揺らし、落ちてゆく。
足元の草花に残る雨の雫。
誰も、気に留めはしないだろう。
神聖な森の奥深くを覗き込むように。
その雫から映し出される美しい光景を。
水溜りに、鏡のように映し出される空と森。
手のひらの中で、溢れてしまいそうな世界を閉じ込めた。
森の雫を、貴方に――
メインのグリーンアベンチュリンは、光に透かすと凄く綺麗な石でして。
アベンチュリン効果と呼ばれるもので、細かく光を反射してキラキラと光るんですけども。
これが、私には神聖な森の中の光景と重なってゆきました。
シルバーカラーワイヤーに、細めのオリーブカラーワイヤーと、
グリーンカラーワイヤーを混ぜて、3色で土台をつくる、 濃淡のある緑のワイヤーで、
すでに奥行きなどもありましたので。
今回はあえて、メインのアベンチュリン以外は、緑の石を一切盛り込みませんでした。
オリーブカラーやグリーンカラーワイヤーが、植物や森のエネルギーを表しているように柔らかくうねりながら。
貴方を森の奥深くへと誘う。
神聖な森の中へ。
草花に残る雨粒や、朝露のような、ホワイトトパーズのミニボタンカット。
雫が太陽に反射して光るようなイメージで、
宝石質サンストーンのオレンジ色が少ないものを選んで盛り込んでみました。
普通は、サンストーンといえば、なるべくオレンジの色が入ったものを選ぶと思うのですが。
一連で仕入れたこのビーズは、オレンジの入り具合に、濃淡やバラつきがありましてね。
その中でも、ほぼ、透明じゃん!笑
てなくらいのビーズを選びましたので。
太陽をイメージさせるサンストーンが、透明なことで、太陽の光が雫に反射している感じや、
鏡のように雫が太陽を映し出しているイメージが強くなったかなと思いました。
そして、小さな小さな空を映し出したような、
スカイブルートパーズの2mmのビーズをほんの少しだけ。
盛り込んだ石を最小限にしつつも、
まるで、雨上がりの森の中を散歩しているような雰囲気が出るようにしてみました。
神聖な森の中で、葉っぱに残った小さな雨の雫や、
地面の水溜りに空や太陽や、森の木々を映して見てるようなこの作品。
過去の2作品である、太陽の雫も、漣の雫も、
どちらも掴むことができないものをモチーフにしておりましたが。
この森の雫は、掴むことは可能だけれど。
実際に"掴んでしまったら形が変わってしまう"もの。
を象徴しているのかなと思いました。
緑の葉に残る朝露や、
草花や森に降り注いだ雨粒が。
太陽の光に反射してキラキラと光る。
それが、どれほど美しく思えたとしても。
実際に手にしてしまえば、
何てことのない、何処にでもある。
ただの水滴になってしまう。
掴んだ!
そう思った瞬間にはもう、
その手の中で、形が変わり。
自分の中での意味合いすら。
全てが、変わってしまう。
掴むことができるのに。
"掴めないもの"
求めているのは、ソレじゃない。
手に入れたと思ったのは、これじゃない。
この手で確かに掴んでいる筈なのに。
何一つ、その手の中には入っていない。
実は、この作品も、糸島観光の際に印象的だった光景が重なっているんですけども。
櫻井大神宮に参拝した時、その時間帯は晴れていたんですが。
その日の朝は結構な雨が降ってましたのでね。
到着した時には、朝からの雨の影響で、神社の中は、地面がじるかったり、所々に水溜りができていたり、木々や草花は雨に濡れて、ポタポタと雫が落ちていました。
そんで、その櫻井大神宮は、 中に入るまでは普通の神社って感じ(あくまで私の個人的な感想)←なんですが。
実際、その鳥居をくぐって入ってみると、
急に深い森の中にある神聖な神社!!って雰囲気になるんですよ。
その日は参拝や観光する時にだけスポット的に晴れていましたので。
何度か空が曇って、パラパラっと一瞬だけ雨が降ったり。木々が風に揺れて雫が落ちてきたりもして。
晴れた清々しい森とは少し違って、 雨に濡れて浄化された神聖な森の中にいるような、
なんともいえない、独特で不思議な感覚でした。
この作品は、そんな森の景色や雰囲気を閉じ込めたようなイメージなんですが。
どれほど美しく神聖で輝いて見えたところで、所詮はただの雨粒。
という。
ファンタジーな部分と、身も蓋もないリアルな現実の部分が、
物凄く隣接して重なっているところが、面白いところかなと思いました。
これは例えるなら、 理想や夢や目標とか、
掴む前は自分の中ではすごくキラキラして輝いて感じられていたものが。
掴んだ!手に入れた!と思った瞬間に、こんな筈じゃなかった!
何か違う!と感じることに似てるのかなぁと思いまして。
理想が高ければ高いほど、現実と比較してこんなものかと落差を感じてしまったり。
夢の良いところ、目標の高いところだけを見てしまって、
輝きのその横にある、もう一つの現実的な側面を受け入れられない。
理想と現実の狭間の中で悩んじゃったりすることもあるんじゃないのかと思うんですよね。
でも、掴んだ途端に形が変わってしまったからといって、すぐに無意味になる訳じゃないと思うんです。
すぐに興味を失ったり、掴むことすら諦めるのは早いんじゃないかと思いまして。
もしかしたら、輝きが消えたように感じられているだけで。
本当は太陽の光を反射したキラキラした美しい雫は。
いつも、その手の中に在るんじゃないかなと思いました。
どちらかに偏ってしまうのではなく、
両方の側面を受け入れようとするようなイメージ。
美しく思えていたのも。
所詮は雨粒と思うのも、
どちらも自分自身。
変化してしまったのは、
雫ではなく
自分の認識の方。
貴方は確かに、掴んでいるんだ。
でも......欲しかったのはコレじゃない。
そんな葛藤がありつつも。
雫の輝きに引き寄せられてゆくように
森の奥へと進んでゆく。
何度でも、何度でも、
煌めく美しい雫を掴んで。
自分が本当は何を望んでいたのか。
自分が掴んでいたものが、本当は何なのか、
見えてくるものかもしれません。
これは、ただの水なのか。
それとも、神聖な輝きを放つ
森の雫なのか――
相反する
二つの世界が重なる瞬間。
雨の森
朝露の朝の森
太陽の光が差し込む深い森の中
神聖な場所
よくよく見ないと目立たない、美しいもの。
ほら、貴方の手の中にあるその雫は
いつも世界を映し出している。
Drops of forest
-森の雫-
そんなイメージの作品なのかなーと思います。
制作日記はコチラです
販売価格 | 12,000円(内税) |
---|