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Phantom-仮面の男-
その男は怪物か。
それとも、君を守り導く騎士となるのか――
謎めいた仮面の奥にある
貴方の表情も、感情も、考えも。
何も――見えない。
だったら、何を信じたらいい?
貴方に向けた言葉はいつも、
仮面の奥の暗闇に消える。
そんなことも、わからないのか?
ならばやめるか。
何もかも手放して尻尾を巻いて逃げてしまえばいい。
くぐもったその声からは
何の気持ちも読み取れない。
反響するように私の心に突きつけられる。
厳しい言葉と態度。
決して、素顔を見せることはない。
仮面の男――
今回は、私が作る中でも稀に現れるダークな作品。
まるで、オペラ座の怪人を思わせる。
ダークヒーロー的なイメージの作品になりました。
クリソコラのカボションは、青いインクと黒いインクをまだらに混ぜたような独特の色合いをしておりまして。
シルバーカラーワイヤーと、細めのガンメタワイヤーを混ぜて形を作ってゆくと、どんどんと、ダークな仮面の形になってゆきました。
ワイヤーで土台を作る途中までは、ドラゴンの片翼をイメージしていたものの。
石とワイヤーを重ねてゆく度に、その翼は隠され、悪魔的なツノやトゲのような形が現れる。
仮面の奥にある筈の姿形は、闇のベールに包まれてゆくように。
真実も、本当の姿も。
この仮面に隠されたまま。
ダークな雰囲気満載でしたので、可愛くならないよう、石はシンプルに盛り込みまして。
ブラックダイヤモンドの原石さざれと、ブラックスピネルのメタリックコーティングを、隙間を埋めてゆくように配置してゆきました。
ブラックスピネルで、
漆黒の闇や影を仮面に色濃く刻んで。
ブラックダイヤモンドが、簡単には割れない強固なイメージと、その男の純粋な強さと潔さを表すかのように。
仮面を被り、姿を偽り。
自分の本当の姿を隠す。
過去も、未来も。
暗闇に閉ざすかのように。
自らを、幻影に変えてゆく。
いくら涙を流したとしても。
もう誰にも気づかれることはない。
どれほどに愛しい思いが溢れたとしても。
この仮面が、外との接触を阻んでくれる
これは、君との境界線。
笑っても、怒っても、悲しんでも。
どんな時も同じ顔でいられるかわりに。
いくらでも君の憎まれ役を買って出よう。
これが......私の選んだ道だ。
それは、どこか切なくて。
自分の周りすべての関係を断ち切ってしまったような孤独と。
自分の心を打ち明ける存在すら、いない断絶を感じました。
偽りの気持ち。偽りの行動。
本当の姿で接する事ができない切なさ。
そうしなければ、
守れなかったものがあるから。
この、仮面の男とは、逆説的な存在なのかなぁーなんて思うんですけども。
一見すると、悪役めいた姿や役割をしているものの。
本当に悪者なのか?
と言われると......たぶん、違う。
どちらかといえば、ドラ〇ンボールのピッ〇ロさん的な←(爆)感じかなーとかも思うんですけども。www
最近のドラマで言えば、大河ドラマの直虎でいう、正次のようなポジションが1番近いかなと思います。
策を巡らせ、裏で手を回し、汚れ役を一手に請け負うために。
仮面を被り、正体を隠し。
あえて悪役っぽく見えるポジションを担っているけれど。
本来の姿形とは全く別物。
仮面は、偽りの姿の象徴
決して、素顔を晒すことのない。
仮面を被った男
本性はまるで見えない癖に、その言葉は常に核心をついてくるように厳しくて。
ストレートに心にグサッとくるような事を言ってきそうなんですよねー。
ついつい、逃げ込みたくなる場所に予め先回りしていて。
そんなところに居ていいのか?おまえそれでいいのか?じゃあ逃げ続ければいいさ。
てなことを、優しく言うならまだしも。
あえて冷徹に、厳しく追い打ちかけるように言われてより傷つくみたいな。笑
わざわざ言わなくていーじゃんそれ!
私が1番わかってんだよ!
て文句言いたくなるような、本人は耳が痛くて聞きたくない事ばっかり言うような、嫌われ役や憎まれ役を担っているものの。
そいつの言う通りにするのはすげえ癪に触るので、結果的には逃げずに立ち向かってしまうという。笑
その根底や、その仮面の奥に。
ほんの僅かな
愛のような気持ちを感じるんですよね。
相手が嫌なことを、意地悪でしてるんじゃなくて。
嫌だと思われることでもあえて伝えることで。相手を守り導こうとしてる。
でもそれは、相手に常に嫌われたり避けられてしまったりすると思うので。
並の覚悟じゃできないんじゃないかと思うんです。
正攻法ではないけれど。
それでも、この方法しか見出せなかった。
考え抜き、悩み抜いた上での覚悟の証。
この仮面の象徴とは。
周りから煙たがられ、嫌がられながらも。
実は、ずっと貴方を見守り、導いてくれている存在を表しているのかなと思いました。
視点を変えれば、自分の中の隠された男性性だったりとか。
ガイドさん的な存在だったりと、本当にいろんな解釈ができると思うんですが。
どちらにせよ、
真実の姿を隠しながら現れる存在。
あえて光に背を向け、ダークな存在に見えているけれど。
はたして、その仮面の奥までもが、暗闇に染まっているのだろうか。
疑ってみたことは、あるかい?
厳しい言葉に心が痛んで。
本質を突かれて必死に目をそらしたくて。
ただ、ただ、その言葉に
耳を塞ぎたくて。
心が罪悪感に染まる
真実に
向き合うことが、怖くて。
その存在を、私の中で
悪役にしておきたかっただけなのかもしれない。
よく、ドラマやアニメなんかで、危険を回避する為や、大切な相手を守るために、わざと相手に冷たい態度をとったり、嫌われるような事を言って自分から遠ざけつつ、影では守ろうとする。
というようなキャラクターがいますけども。この仮面の男も、そういうタイプなんじゃないかなと思いました。
だけど、相手にずっと理解されないまま、誤解されたまま、なんて、ハタからみれば寂しいなぁと思うんですよね。
仮面を通してでしか、本当の自分を隠してでしか周りと交流できない存在なんて、少し悲しい。
誤解されることも、嫌われることも、
憎まれることすら厭わない。
普通は、猫を被るという言葉もあるように、相手によく見られる為に仮面を被りそうなものですが。笑
この作品は正反対の意味合いで突き進んでいる感じですので。
むしろ、見た目でも怖がらせる可能性すらありそうなダークっぷりなんですけども。(汗
めっちゃ好きなくせに、何嫌われ役買って出てんだよ!←
てツッコミ入れたくなるくらいです。笑
でも、その役を担えるということは、相手に対して絶大な信頼や愛情があるのかなとも思いますし、自分の中でも揺るがない自信や強さがあるんだと思います。
そして、ずっと仮面の立場での視点で解説していましたが。
相手側からしてみても、
その仮面の男に嫌なものは全て押し付けてしまえるということもあるのかなと思いまして。
真実を見ることもなく。
それが自分にとって都合が良かった。
そんな風に気がついて、
偽りの仮面を外すように。
自分自身をさらけ出す。
真実を見つめてみる。
という意味もあるんじゃないかなと思いました。
そして。
何度も繰り返される中で。
いずれ、ふと。
気がつき、想像する時もあるんじゃないかと思うんです。
あれ?もしかして。
いつも酷い事を言うものだから。
その仮面の奥の表情なんて、今まで想像したことすらなかったけれど。
本当は......貴方も。
あの仮面の奥で。
あの時泣いていたんじゃないの?
あれ.....
待って、待って!
あの時
無表情の仮面の奥で。
貴方は、どんな気持ちでいたの――?
自分の気持ちに振り回されてばかりいた時には気づかなかったけれど。
そんな視点が加わるだけで、ただ疎ましいだけの存在だったものが、ガラッと変わり。
ドラマのどんでん返しのような、そんな驚きと共にハッとする。
今までの態度も、姿も、全てが偽りだったとしたら。
ずっと、ずっと...
私は守られていたのだと。
真実を見抜くことができた時。
仮面は外れ。
幻影は消失し。
本当の意味で、お互いが向かい合う事ができるのかもしれません。
彼の本当の姿を、見る勇気はあるかい?
境界線を、外して。
現れるその姿。
やっぱり、そうだった。
偽りの仮面と
真実の光
知らなければ、気がつかなければ。
貴方は私の中で得体の知れない、怪物のままだった。
ずっと、守ってくれてたのは。
ずっと、待ってくれていたのは
貴方だったんでしょう?
Phantom-仮面の男-
そんなイメージの作品なのかなーと思います。
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