永遠の夕暮れと、花園。
―Secret Garden―
ログインしますか?
はい ← いいえ
アカウントを確認中
......................ログイン成功。
ようこそ。―Secret Garden―へ。
* * *
ここを訪れるのは、もう何度目になるのだろうか。
いつものように、ログインを済ませ。
この電子世界に作られた、美しい庭に降り立つ。
周りを見渡せば、桜並木のアーチと、チラチラと風に舞う花吹雪。
どれだけ桜の花びらが舞い落ちたとしても。
ここの桜は、
季節さえも変わる事もなく、花が咲き続け、咲き誇り、散り続けている。
デジタルの世界。
なのに、現実よりも遥かに、美しく錯覚させる。
踏みしめる大地の感触。
この桜並木を抜けた先が、私のお気に入りの場所だ。
風が、花の香りを運んで、鼻をくすぐってくる。良い香りが辺り一面、漂っている。
距離、なんて。
本当は関係無いのかもしれない。
もう、既に見慣れた桜並木を歩きながら、考えを巡らす。
動いている。歩いている。
そう感じている私。
だが、それは所詮
ここでは、ただの錯覚だ。
本当は、一歩たりとも。
私の部屋から、動いている筈もない……。
しかし、現実よりも、これ程、リアルに感じられるのは。
……何故?
抗えぬ何か。
本当は、頭ではわかってる。
なのに、やはり。
心を奪われる。この世界に。
あの場所に。
桜の花びらに迎えられ。
考え事に気を取られながら。
歩いて程なく到着するのは、薔薇の花が咲き乱れた庭。
目を見張るほどの大輪の薔薇から、小さく咲き誇る薔薇まで。
数えるのが面倒になるくらい、様々な種類の薔薇が植えられているのだろう。
現実に存在する種類から、きっと、存在しない種類まで。
ため息をつくほどの光景が広がる。
その庭の向こう側には。
古びた時計塔が、夕暮れのオレンジの光に照らされて、時を刻み続けているのだ。
何故、この場所にこれほど惹かれているのか。私もわからない。
電子の庭。デジタルの世界。
作られた場所。
変わる事の無い景色。
最初こそ、この世界に感動していた筈なのに。
今は、虚しさが。
徐々に心を侵食している。
それでも。
ここは私の。
一番のお気に入りの場所なのだ。
あの時計塔が、どれほど時を刻もうとも。
ここは、季節が変わる事もなく。
花が散る事も、枯れる事もなく。
あの、オレンジの夕暮れが。
沈むコトも無いのだから ――。
永遠の夕暮れと、花園。
-------
ゴールドワイヤーと、ガンメタワイヤーを混ぜて作ったこの髪留め。
完成させた時に感じたのは、現実にありそうな庭ではなく。
某アニメや、某ゲームのような、デジタル世界の中に作られたような庭。
という感覚がしていました。
中央の、星空のような煌きのブルーゴールドストーンを核にして、デジタルの世界が展開し始める。
フラッシュローズクォーツや、ホワイトオパール、淡水パールに、クンツァイトのさざれに、ローズクォーツなど、ピンク色中心の小さな石を、細いワイヤーでネジって、束ねてゆきまして。
髪留めに、ふわっと立体感を持たせながら取り付けると。
まるで、桜並木のように、沢山の花吹雪が舞っているような。
こんな光景が見えてきました。
春にしか見ることのできない桜は、ここではどの季節にログインしても、見るコトができる。
その、桜並木を抜けた先に見えてくるのは、薔薇の庭。
ピンクシェルの大輪のピンク色の薔薇に、シリシャスシストのピンクがかった赤い薔薇。
ずーっと、ずっと遠くまで。
様々な薔薇の庭が続いてゆく中で。
ガンメタワイヤーとゴールドワイヤーを混ぜた部分は、レトロな雰囲気の機械や、歯車のように見えまして。
ポツンと、古びた時計塔が。
薔薇の庭を見渡すように。
時を刻んでゆく。
その、全てを。
オレンジの夕暮れが。
包み込んでゆくように。
カーネリアンのオレンジ色は。
沈まぬ夕日、太陽の光が照らされている色のように見えました。
私がゲーム好きてのもありまして。
この作品は、なんというか。
オンラインゲームパッケージのようなイメージの作品なのかなーとか、思いましたwww
例えるのなら。
景色や風景を閉じ込めたものではなく。
作られてはいるけれど、精巧で、ファンタジーなデジタルゲームの世界へ、ログインする為のソフト。
オンラインゲームでは、まず、ログインする為には専用のソフトをインストールするところから始まりますし。
髪留め自体が、頭につけるものなので。
そういうイメージ、要素が強い作品なのかなーとか思いました。笑
ゲームの装備品にも思える形。
クリアする為の、ヒントや重要アイテム。
しかし、このオンラインゲームパッケージ。笑
はたして、ただ、ゲームを遊ぶだけで終わるのでしょうか?
オフラインでできる普通のゲームなら、他のプレイヤーと協力したり、交流することもないし。
基本的にはゲームのクリアを目指して一人で遊ぶことになりますが。
オンラインゲームは、明確なクリアや終わりが無いところが、面白い部分でもあります。
人それぞれ、遊び方が全く変わるのも面白い所で、ガチで早く攻略することが喜びな人。
のんびり、まったり自分のペースで進める事が好きな人。
オンライン特有の、人と人との交流を楽しみに来る人。
同じゲームでもそれぞれ、違う目的ができてくるもんなんですよね。
現実とは違う、その作られた世界の中で。
特別な景色や、物語を見たり、攻略することに夢中になったり、
プレイヤーの交流で世界が広がるように思えたり。
そういう"何か"に夢中になればなるほど。
自分が気がついてなかった側面や"何か"が語りかけてきそうで。
ただ、気軽にゲームを遊んでいた筈なのに。
気がつけば、手放せない想いや。
虚しさや、寂しさ。
ずっと頑なに握りしめながらも、心の中に、仕舞い込み、封じ込めていた感情に、いつの間にか対峙している。
どうも、ただ、ゲームに夢中になり。
飽きたらポイ。
という訳には、いかない感じがしてまして。www
この髪留めも。
もしも、例えばの話で。
ゲームが記録されてあるならば。
その中でプレイヤーは
何かしらの"本気"を試されるもの。
なんじゃないかなーと思いました。
プログラムを展開し、インストールして。
いつものように、ログインする。
見慣れた、桜並木と。
薔薇の庭。
永遠の夕暮れ
この壮大な世界の中で。
ポツンと、ただ一人だけ。
どれだけ探索しても。
他のプレイヤーは見当たらない。
ならば攻略や、クリア条件なんてものも存在しない。
一人では目的なんて簡単には見つけられない。
季節も無く。人も居ない。
ただ、永遠に続く、夕暮れと花園。
―Secret Garden―
ただ、景色が美しいだけ、なんて。
なんて......つまらないゲーム。
夕日を見ながら。
虚しさが、募り続ける。
なのに、ここに来てしまう。
何か、思い出せそうな気がして。
何度もログインしてしまう。
誰も居ない、この壮大な世界。
......そうだ。
いつも、眺めていただけの。
夕日に照らされた、あの古い時計塔に登ろう。
唯一、この世界で時を刻み続ける場所。
一体、なんの為に?
この場所に、時など。
必要ないだろう?
もしかすると。
このゲームは、ログインするだけでは、遊ぶ為の条件が足りないのではないのかなと思うんです。
その空間には、実は沢山の入り口が隠されていて。
扉を開いた瞬間に、本当のオンラインゲームが始まる。
何かしらの本気の気持ちが必要ならば。
其れ相応の行動が、必要になってくるのだから。
いつも見慣れた、時計塔の裏側。
普段ならば見過ごしてしまう
隠し扉の先。
本気で見つけたければ。
どこであろうと。
道は開けるもの。
だけども、その先を進んでしまえば。
もう、向き合うしかなくなるだろう。
心の葛藤。
危険なんてない。
デジタルのゲームの世界で。
何を、私は。
怖がっているんだ。
* * *
ログインして降り立つ場所は皆同じでも。
その先に見える景色も。
見つかる入り口も
きっと、プレイヤーそれぞれ、千差万別なのだろう。
君に、このゲームをプレイする勇気があるかい?
入り口さえ見つけられたのなら。
あとは、一歩。
進んでみるだけさ。
閉じられた世界から。
開けた世界へ繋がる扉。
ようこそ。
―Secret Garden―へ。
本当の
はじまりは、ここから。
そんなイメージの作品なのかなーと思います。
販売価格 | 17,000円(内税) |
---|